東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1064号 決定
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〔決定理由〕(当裁判所の判断)
本件の資料によると、(一)申立人が、本件土地につき、相手方に対し普通建物の所有を目的とする期間の定めない賃借権を有し、現在の賃料が一ケ月金九六七円であること、(二)右賃貸借契約は、本件建物の譲渡に伴い転々と承継されたものであり、当初吉田カツと相手方の父井口徳次郎との間に成立し、井口徳次郎が昭和一九年一月一〇日隠居し、相手方が家督相続により賃貸人の地位を承継したこと、(三)右賃貸借契約成立の日につき相手方は、これを昭和一六年三月一日であると主張するが、これを認める証拠はなく、本件建物につき吉田カツのため昭和一八年三月一一日所有権保存登記がなされているところから、賃貸借契約成立の日は、少くともそれ以前であり、従つて、存続期間の終期は、昭和四八年三月一〇日以前に到来すること、以上の事実が認められる。
本件の資料によれば、本件建物は、老朽度が甚だしいとはいえ、いまだ朽廃の域に達していないことが認められ、相手方は、存続期間満了後は、自ら本件土地を使用する意思であると主張するが、契約の更新を拒絶しうるに足りる正当事由は認めがたく、本件土地は、住居地域であり、申立人の主張する改築後の建物は本件建物と規模において異らず、土地の利用上も相当と認められるので、本件改築の申立は、これを許可すべきである。
そこで、附随の処分について考えるに、本件改築(大修繕)により、本件建物の耐用年数が著しく伸長することは明らかであるので、申立人に対し、相手方に対する財産上の給付を命ずるのが相当であり、その額は、鑑定委員会の意見のとおり金一四万四、〇〇〇円を相当と認める。(小山俊彦)